横山 寿
元京都大学特定教授
農学博士
講師カテゴリー
- 政治・経済
- 農林水産業
- SDGs・ESG
- SDGs環境
- 環境・防災・防犯
- 環境問題
出身地・ゆかりの地
三重県 京都府 大阪府 兵庫県 長崎県
プロフィール
これまでの職歴は以下の通り。
1983~1992年 大阪市立環境科学研究所研究員
1992~2012年 水産庁養殖研究所(後,(独法)水産総合研究センター,増養殖研究所)
2012~2018年 京都大学
京都大学大学院農学研究科単位取得退学後,大阪市環境科学研究所,養殖研究所大村支所,増養殖研究所南勢庁舎勤務を経て京都大学学際融合教育研究推進センター特定教授。これまで養殖漁場の環境評価,環境修復および沿岸域の栄養構造,多毛類の分類などに関する調査研究を行ない,京都大学では森里海連環学に関する大学院生の教育に携わった。
講演テーマ
【世界の養殖業と持続的生産への道】
世界の水産資源に限界があるなか,養殖生産量は年々増加している。その過半を担っている中国のナマコ養殖池や海面魚類養殖場において共同調査を行う機会があり,生産量の多さは,漁場の大きな環境容量や複合養殖を利用した環境管理に支えられていることが分かった。また,三重県熊野灘沿岸の魚類養殖場において行った事例研究を加えて,持続的養殖には,養殖許容量を判定し,残餌を減らす,養殖廃物を回収する,といった環境対策が必要であることを示す。
【水銀汚染の過去,現在】
戦後,日本の経済成長の黎明期に発生した「水俣病」(本講演では「メチル水銀中毒症」と呼ぶ)の症状,原因企業や国・自治体の対応とともに,本症発症の科学的メカニズム,事件の背景を解説する。また,地球規模水銀汚染の現状について,現在は水銀排出源が多様であり,人為的起源の水銀が多くの生物に蓄積され,人に取り込まれる可能性があること,その対策として「水俣条約」が採択されたことも解説する。
【瀬戸内海の今昔】
瀬戸内海では,1960年代から70年代にかけて富栄養化が進み,赤潮が頻発した。その対策として,1973年,「瀬戸内法」が施行され,陸からの汚濁負荷量は減少した。しかし,海水中の栄養塩類の減少とともに,ノリの色落ちや漁獲生産量の低下がみられるようになり,その原因として,汚濁対策による「貧栄養化」があげられている。海域の生物生産性の低下はこの「貧栄養化」のみが原因だろうか。埋立など干潟や浅海域の地形改変が生産性の低下に及ぼす可能性も検討する。
【地球環境の過去,現在,未来】
近年,異常気象の事例に多く接するようになった。2021年公表のIPCC第6次報告書では,「人間が地球の気候を温暖化させてきたことに疑う余地がない」と断じている。本講演では,IPCC報告書等に基づき,世界平均気温の推移,気温上昇のメカニズム,気温上昇による地球環境への影響とその将来予測,海洋酸性化,地球温暖化への対策などについて解説する。
実績
講演実績
2021年8月 「世界の養殖業と持続的生産への道」 長崎平和大使協議会主催,長崎未来平和フォーラム 水産県長崎の未来をつくる
2018年2月 "The use of stable isotope technique for sustainable aquaculture" フィリピンダバオオリエンタル州立大学
2016年8月 "Aquaculture and environment -Environmental management of mariculture-" 中国水産化学研究院東海水産研究所
メディアへの連載
「アクアネット」に2016年5月~8月号に「海面魚類養殖場の環境評価と修復」と題して5回,連載
講演の特徴
環境科学に関する最新情報(養殖業をめぐる環境問題,水銀汚染,地形の改変や汚濁物質による海洋環境と生物への影響,地球的気候変動など)を提供する。私たちを取りまく環境に不安を感じておられる人々に,環境科学に関する最新情報を分かりやすく説明する。
著書
Hisashi Yokoyama (2018) Mercury Pollution in Minamata. Springer, Dordrecht, The Netherlands
Hisashi Yokoyama (2014) Relationship between coastal areas and humans: Toward sustainable mariculture “Connectivity of Hills, Hyumans and Oceans. (eds Natsuki Shimizu, Ryunosuke Tateno, Akihide Kasai, Hiroshi Mukai & Yoh Yamashita), Kyoto University Press, Kyoto, pp.184-194.
石樋由香, 横山 寿 (2008) 濃縮係数の変動性-魚類を例として「安定同位体スコープで覗く海洋生物の生態-アサリからクジラまで-」(富永修, 高井則之編), 恒星社厚生閣, pp.31-45.
Hisashi Yokoyama H, Akifumi Nishimura, Misa Inoue (2007) Macrobenthos as biological indicators to assess the influence of aquaculture on Japanese coastal environments. “Ecological and Genetic Implications of Aquacultural Activities” (ed. Bert, Theresa), Springer, Dordrecht, The Netherlands, pp.407-423.
Hisashi Yokoyama, Katsuyuki Abo, Kazumasa Ikuta, Takashi Kamiyama, Junya Higano, Satoru Toda (2006) Japan “Aquaculture and Ecosystems: An Integrated Coastal and Ocean Management Approach” (ed. McVey JP, Lee CS, O'Bryen PJ), The World Aquaculture Society, Baton Rouge, Louisiana, USA. pp.71-89.
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